現役視能訓練士寄稿【保育園ではメガネ禁止?】保育園とこどもメガネの現状について

現役視能訓練士寄稿【保育園ではメガネ禁止?】保育園とこどもメガネの現状について

保育園とこどもメガネ


※本記事はみるみるプロジェクトの寄稿記事になります。

 

こんにちは、視能訓練士の平良です。

小児眼科でお子様の検査や訓練を担当しながら、

みるみるプロジェクトで広く皆さんに子どもの眼の発達について啓発する活動を行っています。

 

今回は、眼科から一歩外に出て、家庭や園でのこどもめがねについてお話しします。

 


保育園児たちとトマトグラッシーズ


 

現役視能訓練士寄稿【保育園とこどもめがね】

 

 

みるみるプロジェクトでは保育園で眼の勉強会を開催したり、

全園児を対象とした視力検査活動を行っています。

園児世代は、小学校入学に備える準備期間であり、また両眼視機能を発達させ完成に至る期間でもあります。

この時期に「見えにくさ」がないかチェックし、もし何らかの見えにくさがあるようであれば

眼科受診をお薦めするなど、しっかりと見守っていきたいですね。

 

 園内で視力検査していると、入園前に弱視が見つかりすでに治療通院中です!という園児も。

 眼鏡装用している園児、とっても可愛らしいですね。

「治療がんばってるなぁ~」と思うと同時に、背景には大人たち(保護者、園、眼科、眼鏡店)が

みんなで取り組んでいる様子が目に浮かびます。

 

 

そのほとんどがトマトグラッシーズをかけていて、

トマトグラッシーズの安全性の高さが評価されているんだなぁと実感しています。

 

 この園内視力検査活動で、眼科精密検査となり弱視発見に繋がったケースも既に出てきています。

 高知市ではこの園内視力検査が広く普及しているそうで、私たちも全国どこの園でも行われるよう

 活動していきたいと思っています。

 

 

保護者向け説明会では、必ずトマトグラッシーズの見本を持って行って、

こどもめがねについて紹介するようにしています。

 「こんな乳児向けのものもあるんだ!」「こんなに柔らかいんですね!」と驚かれます。

 

 いまや保護者世代の大半が眼鏡をかけた経験があると思いますが、

それでもこどもめがねについては

 どこで買えばいいの?どんなものが良いの?という疑問がありますよね。

 私たちは眼鏡装用する園児保護者だけでなく、全ての保護者に良く知っておいて欲しいと願っています。

 眼鏡をかけたお友だちとの付き合い方、いかに治療用眼鏡が大切であるかなどを理解いただき、

 園全体で応援する雰囲気づくりが大切だからです。

 


眼鏡禁止ルールのある園


 

 

保育園や幼稚園では、園内での眼鏡装用は禁止ですというルールがある園がまだ存在します。

  例)当園では一切かけないでください

  例)外遊びの時間は外してください など

 

 弱視治療は、眼鏡をかけて過ごすことそのものが治療です。

眼鏡レンズを通してくっきりした像を見ることでみる力(視力,視機能)が育ちます。

 ですので、寝る時間以外はずっとかけ続けることが大切です。

 保育園は特に、保護者と一緒にいるよりも長い時間いることが多い存在。

 園管理者の方々には、この治療用眼鏡の重要性をご理解いただき、禁止ルールを設けないよう

 お願いいたします。

 

 令和5年10月、日本眼科学会など5団体は連名で

【幼稚園、保育所、認定こども園の皆様へ~弱視や斜視の子どもの眼鏡装用等に関するお願い】の

声明を発表しました。

  https://www.gankaikai.or.jp/school-health/detail2/__icsFiles/afieldfile/2023/10/12/20231013_glasses.pdf

   ※こちらもご覧ください

 


保護者側も歩み寄りを


このような園内ルールの存在は残念なことではありますが、園側の事情もよく理解できます。

 園長先生たちに聞くと、過去に強烈なクレームがあったというお話を聞きます。

 

✅ 園で眼鏡を壊された!弁償して欲しい!
✅ 園の管理はどうなってるんだ!責任問題だ!

これは…正直あまりに園側が気の毒ではないかと感じています。
トマトグラッシーズは柔軟性に優れ安全性も高いフレームですが、「壊れない」眼鏡は存在しません。
また、子どもたちは元気いっぱいに遊びまわり、寝転がったりもします。
自身の眼鏡を守ろうとする行動はまだとりません。

おそらく、このような保護者からのクレームの結果、
「それなら園内では禁止にしよう」というルール策定に至ったのではないかと察しています。

いまお子さんが眼鏡装用している保護者さま。
もし園で眼鏡が壊れたなどのトラブルがあっても、決して園を責め立てないようにお願いします。
こどもめがねの破損は、大人の何十倍も発生します。
そういうものだと、ご理解ください。

保護者と園が信頼関係のもとで一緒になって患児を見守り続ける存在であってほしいなと思います。

 


平良美津子 視能訓練士 PROFILE

 

北九州市出身/大分視能訓練士専門学校卒業。北九州市立若松病院などで勤務後、1年間トラックドライバー。医療法人大里眼科クリニック(北九州市門司区)勤務、師と仰ぐ辰巳貞子先生のもとで小児眼科を学ぶ。福岡市立こども病院眼科を経て、一般社団法人みるみるプロジェクトを有志らと共に設立。検査/訓練に立ち会った患児はのべ7万5千人以上。現在複数の眼科クリニックで勤務しつつ後進の視能訓練士育成/異業種交流(弱視就学支援・eスポーツ研究等)/弱視早期発見活動に積極的に関わる。日本視能訓練士協会会員/日本弱視斜視学会会員/一般社団法人みるみるプロジェクト参与/福岡eスポーツリサーチコンソーシアム参画会員。みるみるプロジェクト https://mirumirunet.com/

 

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